まだ上手に話せない赤ちゃんと、簡単な手話やジェスチャーを使って会話をする「ベビーサイン」。
赤ちゃんとコミュニケーションを取れる育児法として知られてきたベビーサインですが、
- 赤ちゃんの心の成長
- 育児負担の軽減
- 親子の関係づくり
と沢山のメリットがあります。
今回は、2人の子供をベビーサイン育児で育てた私が、
- 教え方のコツ、秘訣や、
- ベビーサイン育児の楽しさ、
- またその時の子供たちの様子や、
- その後の効果
をご紹介します。
ベビーサインに出会えたことは、私たち親子の最初の関係つくりをとても豊かにしてくれましたし、
そのおかげで、私の初めての育児のスタートは精神的にとても豊かな時間となりました。
ぜひ、これから子育てされる皆さんのお役に立ちますように!
※当サイトのサイン画像は、一般社団法人日本ベビーサイン協会のベビーサインメインテキストより引用させて頂いています。
ベビーサインとは

ベビーサインとは、まだうまく話せない赤ちゃんと、簡単な手話やジェスチャーを使って「お話し」する育児法です。普段の語りかけにベビーサインを添えて赤ちゃんに見せていくことで、自然と赤ちゃんがその意味を理解してコミュニケーションがとれるようになります。1980年代にアメリカ・カリフォルニア大学で二人の博士によって研究され、2000年に入ってから急速に世界で広がりました。
一般社団法人 日本ベビーサイン協会
https://www.babysigns.jp/about_babysigns
⇩ベビーサインと、その教え方について動画でわかりやすく説明されています。
ベビーサインのメリット・デメリット
まずは、ベビーサイン育児の、メリットとデメリットをご紹介します。
メリット①癇癪泣きが減るので、圧倒的に親の精神的負担が減る
生後6ヶ月からベビーサイン育児を行っていた我が家。実際の息子の様子ですが…
まず、魔のイヤイヤ期と言われる2歳を過ぎましたが、これまで手がつけられないほど泣き喚いたり、癇癪を起こすことはほとんどありませんでした。
サインで伝えてくれるので、なぜ泣いているのかわからない、ということがほとんどないのです。
2歳の時期の子供は、心が成長し始める頃。
ママやパパの話していることを少しずつ理解できるようになります。しかし、自分の欲求をコントロールをしたり、伝えることがうまくできません。
そして、自分の力でなんでもやってみたい時期。
そのため「これは自分のやりたいことと違う!自分でこうしたいの!」が「イヤ!」となってしまうのです。
子供自身がその伝え方をわかっていれば、そしてそれを理解してもらえれば、泣く理由は少なくなってきます。これがベビーサインが有効な理由です。
もちろん、息子も”イヤイヤ”が全くなかったわけではありません。ただ、泣いている理由、イヤな理由をこちらが理解できる分、随分気持ちは楽だったなと思います。
メリット②お喋りの準備が早くからできる
赤ちゃん自身が小さな頃から「伝える手段があること」と、「伝えれば理解してもらえる」ことを知ることで、
赤ちゃんの頃からコミュニケーションの素晴らしさを感じることができます。
また、赤ちゃんによっては、サイン時代から物の名前を沢山覚える子もいるので、
そういった場合には、お喋りを始める頃には物凄い語彙数を持っています。
また声でのお喋りに参加できなくても、サインを交えて家族の会話に参加できるので、家族の一員としてどんどん発言しようとする積極性も育ちます。
メリット③親子の絆がとても深まる
赤ちゃんの人間形成の上で最も大切なことは、情緒の安定とそれに伴う信頼感や満足感をしっかり脳に刻み込み、体得させることといわれています。
信頼感というのは、
- ママパパを始め周りの大人が赤ちゃんを見つめ、
- 優しく話しかけることや、
- 赤ちゃんが母乳などを欲しがったり抱いてほしいと泣いたりした時、タイミングよく、それを十分に満足させること
によって、赤ちゃんの心に育っていくものです。
ベビーサインでは、これをサインのやりとりの過程で満たしているんですね。
これを毎日何十回と繰り返していくので、自然と赤ちゃんは、
「ママパパは自分の要求がわかってくれる、特別に安心できる存在だ」と認識し、
「伝えればわかってもらえる」という安心感があるので、泣きも減り情緒も安定しますし、
ママパパも、赤ちゃんとコミュニケーションがとれるので、自然と親子の絆は深まります。

こちらについては是非下の体験談もご覧くださいね。
デメリット:ベビーサインで言葉が遅れる?
『ベビーサインをやっていると言葉が遅れる』という説も見かけますが、私は自分が体験してみて、
『話しかけながらサインを見せる』という基本を守っていれば、手話ではないので、『発語に悪い影響はない』という説に賛成です。
ベビーサインは何歳から教える?何歳からできる?
赤ちゃんはママやパパの真似をしてベビーサインの意味を理解して覚えていきます。
ですので、まだ視力や聴力も弱く、体も自由には動かすことができない産まれてからすぐの時期には始められません。
一般的には、手や指の動きを十分にコントロールできる生後6ヶ月から7ヶ月ごろからベビーサインをスタートする家庭が多うようです。もちろん、赤ちゃんの成長には個人差があるのでママさんパパさんの顔や声を認識できて、体を自由に動かせるようになってから始めて見てください。
ちなみに我が家は、6か月頃から、
- オムツを変える前と、
- おっぱいを上げる前
の2回、サインをして見せるようにしていましたよ!
ベビーサイン教室に通わないといけない?
「お教室に通ってみようかな…」とお悩み中の方にも、独学でやってみる派!の方にも知っておいて頂きたいことは、
ベビーサインはお教室に通わなくても自宅で教えることができます。
なぜなら、お教室に通っている方もそうでない方も、実際に赤ちゃんにサインを教えるのは「ママやパパ」だからです。
お教室は、『先生が、赤ちゃんにサインを教える』ところではなく、『ママが、サインの教え方のコツ』を習うところです。
1人目はお教室に通い、2人目は自分で教えた私が考える、「ベビーサイン教室に通うメリット」は、
- 赤ちゃんからサインが出ない間もモチベーションを保てる。
- 先生の教え方を実際に見たり、コツを教えてもらえる。
- 他の赤ちゃんやママの様子を知ることができる。
- ベビーサイン育児をしている親子にお友達ができる。
ことでした。
私はとても素敵なお教室、先生に巡り合うことができたので!
とくに1人目の育児の方は、お教室に通ってみるのもいいと思います♪
お住まいの地域によっては、子育て応援券等で参加できるお教室や、トイザらス等でのイベントもあるようなので探してみるのもいいかもしれません。
<ご参考>ベビーサイン教室は、こちらから検索できます↓
ベビーサインの教え方、大切なコツ3選
ベビーサインを赤ちゃんに教えるには「コツ」がいります。
これをやっていないと、いくらママが頑張ってサインをしても、赤ちゃんには上手く伝わりません。
ここでは、ご自宅でもママが赤ちゃんにサインを教えてあげられるよう、赤ちゃんにサインを教える際の大切なポイントを
3つ、ご紹介します。
赤ちゃんのタイミングを捉える
赤ちゃんが注目していない時にサインをみせても効果はありません。下の様な方法で、赤ちゃんに注目してもらいましょう。
- 赤ちゃんが何かに興味を示した瞬間にサインする。(例:表情が変わった瞬間に、「あれ、何か聞こえるね!」「ヘリコプターかな?」など)
- 赤ちゃんに問いかけをしてからサインする。(例:「これなーんだ?」と見せながら。)
- 指さしで赤ちゃんに関心を引き付けてからサインする。(例:「あ、鳥さんがいるね!」と指さしをしながら)
赤ちゃんの視線を捉える
赤ちゃんに、ママの手をしっかり見てもらうことが必要です。赤ちゃんの視線を捉えるコツを紹介します。
- 対象の横で見せる。
- 対象を近くまで持ってきてみせる。
- 赤ちゃんの視野に回り込んで見せる。
- しゃがんで見せる。
赤ちゃんにわかりやすく見せるコツ
- サインを意識してゆっくりと大きく見せる。(手の形や動きがわかりやすくなります。)
- 表情豊かに見せる。(「痛い」や「嬉しい」のサインなど、表情豊かに伝えましょう。)
- サインの後で少しポーズをおく。(1つサインしたら、動きを止めて赤ちゃんを見つめましょう。関心を高めます。)
- サインを1つずつ見せる。(沢山のサインを連続して使わないようにしましょう。)
最初に教えるのにおすすめのサイン3選
最初に教えるベビーサインに、「おいしい」(=ほっぺにトントン)を教えようとしているママをよく見かけますが、
最初に教えるベビーサインは、『赤ちゃんの欲求をママに伝えるサイン』『赤ちゃんの快、不快に関係するサイン』がオススメです。赤ちゃんにとって大切な動作である程、覚えてもらいやすいからです。
ここでは、我が家が最初に教えるのにセレクトしていた、覚えやすく、赤ちゃんにとっても身近なサインを3つ紹介します。
おっぱい(ミルク)

サインのやり方
口元で、片手の指をパクパク開いたり閉じたりします。
サインの教え方
授乳の前、毎回「おっぱいしようね」と声をかけながらサインをし、授乳する。授乳中も目があうようなら、「おっぱいおいしいね~」など声をかけながらサインをする。
オムツ

サインのやり方
拳を手首で合わせ、手首を軸にクルッと回転させる。
サインの教え方
オムツを変える前に、赤ちゃんに「オムツかえるよ~」と声をかけながらサインを見せる。終わった後も、「オムツかえて気持ち良くなったね!キレイキレイになったね!」とサインをしながら伝える。
もっと

サインのやり方
両手の指先を軽く閉じたまま、トントンと触れ合わせる。
サインの教え方
離乳食をあげる時、
少しあげたら、「もっと?」と聞きながら
サインをする。最初の頃は反応や返答はないが、何度も繰り返すうちに少しでも表情に変化がでたら、「そうなの?もっとなのね!」と大げさにサインと声掛けで反応して、おかわりをあげる。これをくりかえす。
ベビーサイン一覧
わからないサインがある時、本を買わない限り、日本語でサインを全部調べることはできないのですが(泣)、
英語サイトであれば、無料で見られるベビーサインの辞書(しかも動画つき!) を見つけたので、ご紹介しますね。
こちらではA~Zまでの単語のベビーサインが、600語以上も載っています!
ぜひ活用して、ベビーサイン育児の助けにされてくださいね。
調べ方は、例えば
- 「りんご」を教えたい!
- りんごの英語は?⇒「apple」
- Baby Sign Language.comのDictionaryページ(↓のボタンから)で「apple」を探す、という流れです。
我が家の場合|ベビーサインのお蔭で、今こんな風に育っています
我が家の場合は結果的に、息子の言葉の習得は1歳前半からと、周囲では早い方でした。
2歳にはサイン時代から好きだった動物、魚に加え、電車の名前も(まだ見ぬ北海道から九州までの電車を)図鑑を見ながら息を吸うように覚えていきました。ベビーサインのおかげで『物には名前がある』という事への理解が早かったからでは、と思っています。
現在3歳ですが、おしゃべりが大好きで、それを駆使して非常に社交的な男の子に成長しています。
ベビーサイン育児を始めたきっかけ
ベビーサインを教え始めたきっかけは、初めての子どもとの時間がとにかく愛おしくて(笑)、「もし息子と早く話すことができたら、もっともっと楽しいだろうなぁ」と思ったことです。最初は6~7カ月頃から少しずつ、家で書籍を参考に、ベビーサインを教え始めました。
正直自分も半信半疑でしたし、両親や義両親、周りの友人、先輩ママには、
「ベビーサインなんてまず覚えるのが大変だし、子供なんてあっという間に話せるようになるからそんなのなくても大丈夫よ」と言われたりもしていました笑。
ベビーサイン育児の体験談

生後6ヶ月から、暫くは家で教えていましたが、
他のお子さんの様子も知りたくなったのと、自分のモチベーション維持のため、息子が8か月の時に、ネットで見つけたお教室にも通い始めました。
お教室では、「先生が子供に教える」のではなく、「ママが子供に教える時の、教え方やポイント」を習います。
息子は10~11ヶ月位からやりとりの数がぐんと広がり、とくに熱心に教えていたわけでもないのですが、結果的に1歳3~4か月頃で70〜80くらいのサインを駆使していました(驚)。
『まだ話せない赤ちゃんでも、こんなにこちらの言葉を理解していて、やりとりもできるのだ』と感心してしまいました。

予防接種をしに行った小児科で「赤ちゃん、泣いてるね」と話しかけると「赤ちゃん、エーン」とサインするし、

スーパーで果物の棚の前を通ると指差して「バナナ!」「みかん!」とサインするし、

図鑑のイルカは、指差して「飛行機!」とサインしてきました。『なるほど、イルカを見たことがないと、そうみえるのか』と感心したり。

夜泣きしていた日、暗闇でスマホのライトをつけたら、泣きながら「電気つけて~!」とサインしていて、明かりをつけてヨシヨシしてやったら、ことんと寝てしまったり。

「納豆」は食事中、食べさせながら一緒にネバネバになってしまった時、「イルカ」は水族館で思いがけず一緒に水をかぶってしまった時、一緒にサインを作り、2人だけの共通サインになりました。
ベビーサイン育児を始めてからの、良い効果
赤ちゃんとこんなにやりとりできるなんて、面白いですよね!
このように子育てにベビーサインを取り入れてからの私たちは、普段から
いつもお互いに表情や手先をよく見る癖がついたので、相手がなにを言おうとしてるのか、お互いとても注意するようになりました。
また、ふたりで紡ぐサインでのやりとりの時間は、『話し出したら徐々に消えていく、限られた時間のものだから』というのもあるのでしょうが、そのふたりの世界は私にとってはとても大切で、尊いものになりました。
他愛ないことでいえば、

息子があまり気乗りしない様子で夕飯の席につき、ちょっと考えてから、食卓の上にない「苺!」とサインしてきた時。「ハイハイ苺ね!」とサインしながらにやりと席をたつ私を、息子は、いつも「伝わってる!」と思うのか、なんともいえない笑い声をあげます。

断乳1週間前から、カレンダーをみせながら、「毎日この日におっぱいバイバイしようね」と話しかけていましたが、断乳3日目の夜中(夜中夜泣きしたときはいつも授乳していたのですが)大泣きしながら『おっぱい+バイバイ』とサインしてくる姿をみてこちらが涙してしまいました。翌日にはそんなことはすっかり忘れたかのようにおっぱいを卒業してしまい、ケロッとしていましたが。
この月齢で、本当にどこまでわかっているのかはわかりませんでしたし、このやりとりの記憶も、時と共に奥底にしまわれ、彼には残らないのだろうなと少し切なく思いながらも、サインを覚えたくれた嬉しさというより、彼が『私との何か共通の面白かった経験を経て、物の名前を覚えていくこと』を、とても幸せに感じました。
また私達親についてですが、
ベビーサインがあったことで、私達親は、
- 言葉でやりとりするずっと以前から、「彼の考えていることや、思い」を確認することができたので、早くから彼を「意思のある1人の人」として彼を尊重するようになりました。
- また、普段から彼の言葉だけでなく、表情や様子などをよく観察しようとする癖がつきました。
ベビーサインに出会えたことは私たち親子の最初の関係つくりをとても豊かにしてくれましたし、そのおかげで、私の初めての育児のスタートは精神的にとても豊かな時間となりました。
【実際の動画】息子とベビーサインでやりとりする様子
ベビーサイン育児の為の、おすすめの書籍

ベビーサインを考案された、協会代表理事、吉中みちるさんによる本です。日常生活のベビーサイン139語が収録されています。1ページ1サインなのが見やすい!索引がついていて、サインを探すのにも便利です。
上でご紹介した、吉中みちるさんの漫画です。こちらはサインのやり方を教える、というよりは、サインを使って自分の気持ちを表そうとする赤ちゃんのほっこりエピソードが中心。巻末には、約100種類のベビーサインが紹介されています。
ベビーサイン、教え方のコツを全公開!のまとめ

いかがでしたでしょうか。
記事の中で、「(ベビーサインでやりとりをしていたことは)息子の記憶には残らないのでしょうが」と書きましたが
最近、保育関係の書籍を読んだ際、
「母親との幼児時代の記憶は、子の個人的無意識の中にずっと在り続け、その人生のベースになっていく。また、私達の人間関係の一番最初の関係性は母親なので、その関係性から子の関係性の基礎が作られていくのです」と書かれていました。
ベビーサインに出会えたことは私たち親子の最初の関係つくりをとても豊かにしてくれましたし、そのおかげで、私の初めての育児のスタートは精神的にとても豊かな時間となりました。
現在は、今度は10か月の長女にベビーサインが出てきていて、
今度は兄妹でもやりとりできるようになってきてまた面白くなってきました。こちらについても、また追って別の記事で書いていきたいと思います。
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